コーポレート・デザイン・パートナーズは現在も、エムティーアイとともにこのタクシー料金精算の仕組みのブラッシュアップを続けている(2021年6月時点)。2021年2月の本番利用開始以来、既に細かな使い勝手の点で改修を施した他、利用状況をモニタリングしながらさらなる利用率の向上に向けて施策を練っている。
その中で、スマホアプリから取得した情報の分析によって新たな気づきと構想が生まれつつある。
「正確な位置情報や時刻情報を、当初は想定していなかった用途に使えるケースが出てきました。例えばタクシーの利用時間があまりに不自然な場合、申請者に『本当にこんな時間帯にタクシーを利用したのか?』と確認できるようになりました」(田中氏)
データ連携による経費申請の自動化や効率化とともに、ガバナンスやコンプライアンスも守りやすくなった。経費申請の自動化や効率化は、使い方を誤ると不正利用の温床にもなりかねない。しかし今回、コーポレート・デザイン・パートナーズとエムティーアイで開発した仕組みは、データ活用によって従業員の不正や“不正を疑われるようなミス”を予防し、ビジネスを効率化させながら企業と従業員を守れるものになった。
同社は今後、アプリが収集した位置情報をうまく活用し、経費精算以外の用途にも活用する方法を模索するという。
「今回開発した仕組みを応用して、例えば安否確認システムができるかもしれません。あるいは、いわゆる“カラ出張”を抑制する手段としても使えるかもしれません。いずれにせよ、APIを通じてGPSと時刻の情報を他のデータと掛け合わせることで、データの証憑としての信頼性が高まり、ビジネス全般におけるデータ活用の可能性が今後さらに広がるのではないかと期待しています」(田中氏)
※本稿は、ビジネス+ITからの転載記事です。(掲載日時:2021年7月15日)